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執筆者の写真matsuzo.m

ペニーブラッド・エレバス PENNY BLOOD Erebus



 みなさん、こんにちは。スタジオワイルドローズの町田です。


 先週に引き続き本日もペニーブラッド・インヘリターズストーリーに収録される三篇の物語のうちのひとつ、『ペニーブラッド・エレバス』を紹介します!


 エレバスは、1924年、黄金の二十年代と呼ばれる時代のアメリカはニューヨークを舞台にしたホラー小説です。


 主人公はBOIの女性捜査官、アラスカ・パッカード・デイヴィッドソン。54歳。

 1863年生まれの実在の人物です。彼女は1922年10月にBOIのバーンズ局長の要請で女性初の特別捜査官になりました。当初、本人の希望に関係なく上流社会出身の彼女は粗暴な事件の担当にあてられることはありませんでしたが、ついに人身売買の事件を追い始めます。


 アラスカは人間ばなれした霊感も派手な超能力も持ち合わせてはいませんが、オカルトや超常現象を恐れない信仰心の持ち主で、優れた直感力と粘り強い捜査手法によって事件の真相に迫って行きます。


 そして、そんなアラスカの脇を固めるキャラクターたちがいます。

 夜はアプリコットクラブの歌姫として客を魅了し、影で街を守るダンピールのロクサーヌ、普段はとぼけた性格だがやるときはやる(?)インチキ奇術師ヴィトー、さらにはヘルバウンドで登場した熱血ヒロインのクララが活躍します。


 好景気に沸く華やかなニューヨークの日常の影で起こる子供たちの失踪事件を、アラスカたちは解決することができるのでしょうか。





「質問は一つだけ、答えてくれたらすぐに解放するわ」

 知的でありながらキュートな一面も見せるアラスカは、誇り高いアメリカ人女性の代表です。



「余計なお世話ですね。つまり私にはもう家に帰ってちょうだいと言いに来たわけですか?」

 彼女はデスクワークや危険のない小さな事件ばかりを任されていました。




「誰かが嘘をついていないからといっても、完全な真実を語っているとも限らないのです」

 警察にないがしろにされた失踪事件をアラスカは単独で捜査し犯人に立ち向かいます。




・プロダクションノート

 エレバスは当時社会問題になっていたアメリカの闇にメスを入れた物語として構成されています。このアイデアを提案したアリ・リーは、オカルトとダークホラーで構築されたペニーブラッドの世界観にまたひとつ重要なテーマを投げ入れました。


 この社会派ともいえるテーマをエンターテイメントとして、どうエレバスで昇華させていくのか、一緒に世界観やキャラクターについて考える町田も非常に興味深い思いでした。


 一見すると渋い設定の渋い警察小説になってしまうのでは、とも感じましたが、書き上げられた物語はロクサーヌを筆頭にヴィトーたちが顔を見せ、思わずニヤリとするシーンがあり非常にバランスの良い調和を保っています。後篇では、おそらく他にも魅力的なキャラクターの登場が控えているかもしれません。


 なお、エレバスとは、闇の神の名前、または冥界そのものの名前とされています。 


 今回情報公開したエレバスは『口寄せの器』とは、また違った雰囲気に包まれた仕上がりになっています。


 どうぞ、『ペニーブラッド・エレバス』にご期待ください!


 町田




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